空いている土地や駐車場を貸して収入を得たい人と、駐車場を借りたい人をマッチングするサイト「 Smart Parking(スマートパーキング)」を運営する、株式会社シードの吉川幸孝代表。これまでは駐車場ビジネスを経営する場合にはまとまった土地がなくてはならず、精算機など設備への初期投資も運営のハードルとなっていた。しかしスマートパーキングは初期投資ゼロで土地活用ができる。吉川代表は、このサービスを16年に名古屋で開始。当初100箇所だった拠点も2千箇所超まで伸ばしている。
2019年11月15日(金)に開催された、虎ノ門ヒルズでの「Mobility Transformation Conference 2019 〜移動の進化への挑戦〜」において、スマートパーキングの事業内容が、見事JAGUAR I-PACE AWARDを獲得。その特典は3ヶ月間、I-PACEを借りて自由に乗れるというものであった。
今まで乗ったガソリン車とは違う まったく新しい乗り物という感覚
「この3ヶ月の間、I-PACEに本当に楽しく乗らせてもらいました。そもそもEVが初体験だったので、まず充電器を探すところから始めたり、友人たちと遠出をしてみたり、とても楽しかったですね。事前にEV充電スタンドの検索アプリなども教えていただいていたので、充電場所に困ることもなく、いい体験になりました」
「最初はこのオフィスと自宅までの通勤に使っていました。普段は自分のガソリン車に乗っているんですが、まずこの通勤の5〜6キロだけで、純粋にI-PACEの走りの良さを感じましたね。ガソリン車とはまったく別の乗り物で、ガソリン車にはこういう感覚はないな、と。アクセル踏みこんだらその瞬間にトルクがMAXまで上がるのは、絶対にない感覚ですよね」
お父様がクルマ好きということもあり、いろいろなクルマに乗ってきたという吉川さん。そのどれとも違う感覚と、楽しいと感じさせる走りがあり、まったく新しい体験だったと語る。
Profile:吉川 幸孝
株式会社シード 代表取締役。1991年愛知県生まれ。2010年に中部大学英語英米文化学科に入学、2011年には米国オハイオ大学に短期留学。在学中の2012年7月から株式会社シードの代表取締役に就任、同年には早くも「月極ドットコム」のサービスをスタートさせる。2014年3月に中部大学を卒業すると同年4月、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部グローバル経営学科に入学。2016年3月より「Smart Parking (スマートパーキング)」のサービスを開始し、現在に至る。
初めてのI-PACE充電旅は 友人たちとの京都ドライブ旅行
「I-PACEでの初めての遠出は京都で、友達と3人で八坂神社に行きました。道中、充電を目的にサービスエリアに入ったんです。EVが普及しているからこそとは思うんですが、どこもリーフのドライバーが使用中で、ずいぶんEVって走っているんだなと実感しました」
「結局、EV充電器のある大型のコインパーキングを京都市内で発見して、そちらで充電することにしました。ところが普通充電器だったために想像以上に充電に時間が掛かってしまって。名古屋から京都までの片道で、満充電から半分くらいまで減ってしまっていたので『うわぁ、これは帰りまでに満充電にしないとヤバいな』と。しかも約8時間充電したのに、それでも1/2から3/4までしか増えていなくて、ちょっと焦りましたね。今思うと、高速で急速充電を1回すれば済むのでなんてことないのですが、最初はやはり戸惑いますよね」
「ただ、この『コインパーキングに停める間に充電する』方法は、すごくコストパフォーマンスがいいと思いました。結局、観光の間にはクルマをどこかに止めますよね。それであれば、駐車料金を払うと無料で充電できてしまうEVのほうが、ガソリン車より断然得だと思うんです」
京都旅では、ご友人にも試乗していただいたとのことですが「いつも乗ってるクルマとは別物」とびっくりしていたとのこと。加速感と価格、そのほかホイールの大きさや車体の色、デザインまで「普通のクルマじゃない」と話していたそうだ。ちなみに、そのほか吉川さんのお気に入りはI-PACEのタッチパネルとナビの反応。そのほかインテリアもデジタル感と近未来感があってお気に入りとのことであった。
普通と急速を使い分けて充電
ガソリンスタンド不要のEVライフ
「2回目の遠出は妻の家族と出掛けたんですが、同じく京都に向かいました。2度目だったので、余裕な感じで案内して(笑) 『どのくらい走るとどのくらいバッテリーを消費するのか』『どこに充電器があるのか』『充電にはどのくらい時間がかかるのか』を友達との旅で予習していましたから、心理的なハードルはかなり下がりましたよね。なのでEVへの不安がある方には、ぜひ何日か乗ってみられることをお勧めします」
最初の京都への旅の帰路で、はじめて急速充電器を使ったという吉川さん。普段の通勤ではオフィス近場のコインパーキングで普通充電していたため、初めての急速充電体験だったということだが、急速充電の時間に30分の制限があることに疑問があったとのこと。
「I-PACEの充電容量はとても大きいので、正直、急速充電が30分1回だけだと『もうちょっと充電させてほしいなぁ』という思いでした。現在の最大出力は40kWが主流とのことですが、80kWであれば1時間で満充電になる計算です。なので、早くそうなるといいなと感じています」
EVの黎明期に整備された急速充電器は、当時のEVのバッテリー容量が少なかったこともあり、30分で80%の充電が完了する計算だったのだそうだ。当時I-PACEのような大型バッテリーを積んだEVの登場は想定しておらず、充電器にはその時代の名残があるという話もある。EVの普及にはこうしたインフラのリファインが必要である。
「僕は普段、帰路にガソリンスタンドに寄るというのがすごくイヤなんです。なのでEVの充電器付きコインパーキングに停めておけば、手間もガソリン代もいらないですよね。名古屋~京都の片道であればバッテリーは余裕ですし、街乗りであれば周辺の充電器付きコインパーキングに止められるので、今は充電について不安に思うことはなくなりました」
3ヶ月ものI-PACE試乗体験だったが、吉川さんはもし自宅に充電器があったら、即EVに乗り換えたいとのこと。すでにガソリンスタンドに寄るわずらわしさがなくなったので、またガソリンスタンドに行くことが億劫になりそうとも語っていた。
I-PACE体験から生まれる
新しいビジネスモデル
「私は駐車場ビジネスをしていますが、現状コインパーキングに付いているのは普通充電器がほとんどです。今後は中速や急速充電器付きのパーキングスペースを持つ方がシェアリングに進出したら、一層付加価値が上げられるなと思いました。というのも現状のコインパーキングサービスって、20数年前からそう変わっていないんですよね。私は『クルマを停められる』以上の付加価値をつけ、この業界のサービスを成長・発展させられる役割を担っていきたいと考えています」
駐車スペースにあるカラーコーンにスマホをかざして決済する「Smart Parking」のほか、既存のコインパーキングと精算機をそのままに、キャッシュレス・パーキングを実現させる「Smart Parking HUB」など新しいサービスを次々と展開している吉川さん。今後は駐車場以外でも自動販売機のキャッシュレス化やサブスクなど、お客さまの利便性をどんどん上げていきたいと語っていたが、今回のI-PACE試乗体験が新たな付加価値を生むビジネスのきっかけとなるかもしれない。今後の吉川さんの活躍に大きな期待がかかりそうだ。
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