1991年、ニューヨーク大学芸術学部・写真科卒業後、本格的にフリーランス・フォトグラファーとしてのキャリアをN.Y.でスタート。1993年より東京での活動を開始。 海外で身につけたハイクオリティな技術とセンスで多くのファッション撮影、広告撮影の他、ムービー作品も手掛ける。シリコンバレーでの視察で刺激を受け、独学で試行錯誤の上2014年、日本初となるフォトグラメトリースタジオ、avattaをオープン。CEOを務める。3Dモデルのクオリティは日本屈指。多くの広告、TV番組の素材提供の他、VR、ARなどを取り入れた広告、プロモーションなどのディレクションも行っている。
前回は、自らが代表を務める3Dフォトグラメトリースタジオ「avatta」を案内してくださった桐島ローランドさん。今回は会社を出て、実際にI-PACEを試乗していただくことにした。
「いいですねI-PACE。デザイン的にもフロントがメカニカルでカッコいいし、サイズも日本の街にちょうどいい。カーゴスペースも大きいからゴルフバッグを入れても余裕そうですし、リアシートも広くてガラスルーフも開放感ありますね。USB出力がたくさんあるのはEVっぽい反面、操作系のダイヤルがアナログで、逆に高級感を感じます。いいじゃないですか! かなりポイント高いと思います。今、我が家のクルマはドイツのSUVで、次は奥さんに他のEVを勧めてたんですが、I-PACEのほうがいいかもしれないですね。デザインも好みですし、航続距離WLTCで438kmなら普通に使えそうですし。それに俺、イギリスの血が流れてるから、ジャガー贔屓したいんですよ(笑)」
今年9月に、都内に新居を構えるという桐島さん。そのご自宅は、EVの充電コンセントを備え、オートメーションを最先端としたスマートホームになる予定とのこと。そこに収まるクルマを現在検討中とのことで、荷室やリアシートの広さなどインテリアも細部までチェックをされていた。このあとは実際にI-PACEをドライブしていただき、首都高湾岸線へと向かう。
首都高で走りを楽しみ
アダプティブクルーズコントロールを試す
「インテリアも質感が高いし、しかも速い! 重心が低くてコーナリングもいいですね。ハンドリングとアクセルの反応がリニアなのは、わざとスポーティーな味付けにしているのでしょう。俺は好きですが、うちの奥さんみたいに経験値が少ない人には、もう少しレスポンスにゆとりがあるほうがいいかもしれませんね」
ドライブするなり、すぐにI-PACEを気に入った桐島さん。奥様が乗ることも想定しながら走りをチェックし、首都高速で走りを楽しんだあとは、 I-PACEの「アダプティブクルーズコントロール」を試すことに。
「静かでいいクルマですよ。速いけど音があまりしないので、気をつけないとスピードを出し過ぎてしまいそうですよね。そういった意味では、擬似エンジン音はスピードの感覚をドライバーに認識させる面でも、とてもよい機能だと思います。重要なのは、アダプティブクルーズコントロールですね。ドライブをアダプティブクルーズコントロールにまかせると、不思議なもので人間っておおらかになるんです。スピードも出さなくなりますし、楽でいいですよ」
「またどこの家庭でもそうでしょうが、子供と遊べるのが週末だけなので、どこかへ出かけるといつも帰りが大渋滞で、そのサイクルが本当に嫌なんですよね。ウチの場合は御殿場に別荘があるのでよく行くのですが、帰りが渋滞だと奥さんも子供もみんな寝ていて『なんで俺だけ起きて渋滞にはまっているんだ!』って思うわけです。昔は全然眠くならなかったんですが、今はそれなりに眠くなりますし、御殿場から帰りの4時間、渋滞の中をひとりで運転するっていうのは、やりたくないんです。EVはスロットルのオンオフが内燃機関より細かくコントロールできるので、アダプティブクルーズコントロールに向いています。将来的には高速の渋滞をすべて自動運転でやってくれれば100点満点。そうなると自分がすごく解放されるので、週末の外出に積極的になれるような気がします」
アダプティブクルーズコントロールの設定がないクルマは、購入の候補に挙がらないという桐島さん。特に高速道路のノロノロ渋滞のような、25キロ以下走行での自動運転化を切望している。その点I-PACEのアダプティブクルーズコントロールは、渋滞時に先行車の減速と停止を検知して安全な車間距離を維持するため、リラックスしてドライブが可能である。高速道路を降りた桐島さんが向かったのは、都心にあるもうひとつのオフィス。市街地を走りながらEVと住宅、充電インフラについての話をうかがった。
「EVの充電器は
ゴルフ場にこそ必要です」
「EVを今、現実的に購入するとなると、一戸建てを持ってる人にはオススメですが、マンション住まいの方には工夫が必要ですよね。EV用の充電器があるマンションなんてほとんどありませんし、わざわざ充電しに行くのはハードルが高い。都内でテスラに乗っている知り合いが5人くらいいますが、マンションに住んでいるテスラオーナーは、ミーティングをEV充電器のある六本木ヒルズでやりたがります。ライフスタイルを充電器のある場所に寄せていくっていうのも、EVライフのひとつの手ではありますよね。また、航続距離は確かにEVの課題ですが、私のほとんどの知り合いは都内での足として使っているので、電欠でハラハラするのはゴルフにでも行くときだけのようです」
EVを購入する際、航続距離や充電に不安を感じるオーナーもいることと思うが、桐島さんのリアルなEVオーナーの話を聞いていると、EVに乗り変えることでオーナーのライフスタイル側を変化させていく楽しさもあるのだ、と気づく。
「ゴルフの話でいうと、本当はプレイしている時間に充電できるのが一番いいので、ゴルフ場にこそEVの充電器が必要だと思います。マンションだと住民の合意が必要など、なかなかハードルが高いですが、ゴルフ場はその顧客層のニーズに応えようと、設置のハードルがそもそも低いはずです。さらには、遊園地の駐車場とかレジャー施設にこそEVの充電場所が必要なんです。高速道路のSAに設置されていても30分しか使えないとか、誰かが先に充電して使えないとか不便なこともありますが、旅館とかレストランなどのデスティネーションにEVの充電器があれば、待ち時間を有効に使えます。国も補助金を出すのであれば、そういうところにこそ使ったほうがいいと思いますし、各施設も、もっと自身で投資するようになればよいと思います」
今後はEVの普及に伴い、EVの充電器があるからドライバーがそのレストランを選ぶなど、設置するお店も利用者もWINWINな関係が広がるはずだ、という桐島さん。 I-PACEに試乗したことで、EVの加速度的な進化のスピードも体験したようだ。
数年で驚きの進化を遂げるEV
「EVでいうとBMWのi3が発売された当時、大好きで1年間乗っていたんですが、当時の航続距離は実質的には150kmくらいだったんです。電欠してもレンジエクステンダーで2〜30kmは走れるのですが、当時はよくハラハラしながら移動していました。初代リーフが発売されていたときも長期で借りていましたが、やはり走行距離がネックだったので、地方の奥様が子供の送り迎えなど近隣の普段使いにはピッタリなのだろうと思った記憶があります。今ではi3もリーフも新型は航続距離が延びていますが、I-PACEの航続距離はWLTCで438kmといいますから、ここまで来ればもう充分ですよね」
「今のクルマは昔みたいに、一生モノとして買うというより、性能がどんどん上がっていくので、数年のスパンで乗り換えていくのが正解なのかもしれません。家電でも5年前にテレビを買った人が今のテレビを買うと、その性能に驚かされると思います。クルマも特にEVは5年で性能はかなり進化しますし、ちょっとしたことですがドライブアシストはかなり進化していますよね」
EVに対するインフラやライフスタイルにも詳しい桐島さんだが、最近都内の足はもっぱら電動自転車だという。目的地のオフィスに到着するとVANMOOFという北欧デザインの電動自転車を見せてくれた。
都内はタクシーより早い
オランダの電動自転車で移動
「もともと都内はバイクで移動していたんですが、駐禁がシビアになったのでバイクは都内で乗れない代物になってしまったんです。そういった意味では電動チャリは駐禁がないので最高ですよ! すっかり自転車派になってしまいました。雨の日はタクシーで普段は自転車。都内の移動は自転車なら渋滞がないので、実際はタクシーより早いことが多いです」
桐島さんの所有する電動自転車は、オランダはVANMOOFというメーカーの「Electrified S2」というモデル。一見電動には見えないクラシックなスタイルだが、フレーム内にバッテリーが内蔵され、電動アシストモーターがリアに内蔵されている。
「一見、普通のオーソドックスな自転車に見えるんですけどハイテクで、電子ロックもGPSも付いてるんです。ライトも暗くなると自動で点灯しますし、2段変速だから東京の坂道程度なら全然問題ありません。自分でサドルやペダルなどをカスタムしてネオクラシック風の外観にしたんですが、これはオススメです」
シルバーのI-PACEとマットブラックのVANMOOF。新時代の美しい電動モビリティたちは、常に新しいものを取り入れて変化していく桐島さんのライフスタイルにとてもよく似合っていた。
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