渋谷区富ヶ谷、山手通り沿いに約4年前にオープンした完全予約制のレストランHITOTEMA。以前はスタイリストやアパレル関係などファッション業界の仕事をされていた谷尻直子さんがオーナー兼料理家として、“現代のお袋料理”というコンセプトの料理を振舞ってくれる。
こだわりに溢れたお料理を提供する谷尻直子さんからみた、ジャガーI-PACEとは―。彼女の目線でみたI-PACEのこだわりを探っていく。
完全予約制レストラン「HITOTEMA」とご自宅の間にあるカフェスタンドが「BONDI COFFEE SANDWICHES」。ビーチカフェをコンセプトにした店内にはチルアウトミュージックが流れ、木製の家具が置かれリラックスした雰囲気を醸し出している。ここで直子さんは窓際にある大きな一枚板のベンチに座り、レシピを構想したり、スケジュールを整えたりと、ひとりの時間を作っている。山手通りから抜ける裏道にありながらも大使館や外国人向けマンションが点在する場所柄のせいか、カフェの前には様々な外国車が通る。
「18歳で免許を取り、最初は父のクルマに乗っていましたが、21歳でスタイリストのアシスタントを始め24歳で独立したときに、ボディがブルーグリーンでシートがベージュのVOLVO 940を中古で買いました。4〜5年くらい乗ってからBMWのカブリオレ、セダンと乗り継いで今はメルセデスに乗っています。農家さんの畑や器作家さんの窯元など郊外に足を運ぶことも間々あるので、荷物を乗せて多少ワイルドな道も難なく走れるSUVにしました。先日も富士山の麓にある陶芸家・吉田直嗣さんのアトリエに行ったのですが、ドライブがてらその土地ごとの特産品や日本酒に出会うのも、仕事と趣味が同じ“食”である私にとっては幸せの一つ。美味しいものを見つけるとつい、お客様に食べさせたいなと思ってしまいます。都会に住んでいながらも、実家で食べるご飯のようでありたいと願っているので、作り手であるお母さんの気持ちでいることを大切に考えていますね」
料理家。東京都渋谷区で完全予約制レストラン「HITOTEMA」主宰。ファッション業界を経て、料理家に転身。「現代版のお袋料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族で育った経験を生かし、お酒に合いつつも身体が重くならないコース料理を提案している。近著に、『HITOTEMAのひとてま』(主婦の友社)がある。
I-PACEのハンドルを握る直子さん。富ヶ谷から代官山、青山周辺と颯爽と走り抜ける姿は、SUVに乗り慣れているだけに狭い路地もスマートだ。悪路にも定評のあるI-PACEであれば郊外の未舗装路をドライブするという直子さんの日常にもピッタリかもしれない。
「今回、初めて電気自動車を運転しますが、とても不思議。ものすごく静かですね。スマートセッティングでハンドルが自動調整されるのは最新メカという感じでかっこいいし、クリープ現象があまりないのが不思議な感覚で面白いです。内装がグレー基調なのは好みですし、運転席から見えるディテールでハンドルがスエードなのが新鮮。ダッシュボードの流線は動物のジャガーのシェイプを思い起こさせます。このジャガー、飼いたくなっちゃいますよね(笑)。それにしても、クルマ好きの方はすぐにこのI-PACEに反応してしまうようですね。“じーっ”という音が聞こえそうなほどの視線が、運転しながらも感じられます」
ドライブ中、かなり注目度が高かったI-PACE。直子さんが運転しているということもあるのだろうが、普段の生活でもクルマを愛用し、ご夫婦揃って運転できるという環境はあらゆる面で心強い。
「夫婦ふたりとも免許を持っていると、お互いを送り迎えできて便利です。家族でドライブするときの車中では、息子の好きな絵本を読み合ったりしています。私の実家が蒲田にあるので、行きがてら羽田空港まで走って飛行機を見に行ったりすることもありますよ。同乗者が女友達の場合は、ラジオを聴いたり、音楽を流せば好きなミュージシャンの話に花が咲きますね。最近ではポストロックバンドのシガー・ロスの曲からアイスランドの話題になったりもしました」
静かな車内は音楽を楽しむのには最適。I-PACEにはMERIDIANのサラウンドシステムは標準で11台、直子さんの試乗したモデルは15台ものスピーカーを備え、コンサートホールのようなサウンドを体感できる。お酒が飲みたいときにはクルマを置き、お子様を預けて、旦那さんとふたりで食事に出かけることもあるそうだ。
「私たちが好きなのは “美味しい”お店よりも、“うまい”お店なんですよね(笑)。話題のレストランにも行きますが、飾らない、スタンダードな居酒屋さんが大好きなんです」
飾らないところも素敵な直子さんだが、今年に入ってからインドネシア、イタリアはミラノとピエモンテ、オランダはアムステルダム、フランスはパリとシャンパーニュ地方、モロッコと、すでに5カ国7都市の海外へ家族旅行に出かけたそうだ。
「私は海外に飛び出すのが好きなので、まだ息子が6ヶ月の頃、おもちゃや瓶詰めの食料などの荷物を片手にふたりで海外へ行ったことがあり、その後も彼をいろんな所へ連れて行きました。入国審査を早めに書いておくコツや持っていく荷物の用意など、いわゆる旅術が得意になりましたね。以前行ったラオスやタイでは、料理にスパイスや発酵食品が豊富に使われているので、それを子どもでも食べられるように工夫をしたり、現地で食べたものを柚子胡椒などの調味料を使って和風にアレンジすることを考えてみたり、発想が広がります。外食は、初めての味に出会うことができて勉強になります。新しい体験は自分の脳を活性化させてくれますね。人生に重要な二つのことは“刺激”と“癒し”だと思うんです。旅は、普段の生活から離れる癒しと、知らない場所へ一歩踏み入れる刺激の両方を得られますからね」
刺激的な走りとリラックスできる癒しの空間などI-PACEもそのふたつを持ち合わせているといえるが、直子さんは人間関係においても、刺激のある人と癒される人の2パターンがあると話す。
「友達も知らず知らずのうちに刺激と癒しのタイプに分かれていることに気がつきます。
対局となるモノゴトを選び取る事が大切なんですね。パートナーとなる人物は両方を持ち合わせていて欲しいし、そうありたいですが(笑)。対局と言えば、道具や物も、古いものと新しいものがある景色が好き。私は両手のひらにおさまるサイズのまな板の上が世界だけれど、夫は大きな建築物が相手。これからも良い関係を一緒に築いていきたいです」
人生は“刺激”と“癒し”。スタイリストやファッション業界を経て、食に携わる仕事へとシフトチェンジする過程で自分なりの真理を見つけ、それに向かって邁進する。自分で人生のハンドルを握る谷尻直子さんの日々の向こう側には、辿り着くべき目的地がすでに見えている気がした。
その他のストーリー