冒険とエレガンス」を軸に、世界中でハイエンドのライフスタイルを撮影、広告にCMと活躍している写真家の秋田さん。近年では富裕層向けの旅行やホテルのスタイルも多様化し「冒険」や「環境」といった要素がとても重要なファクターになっているという。ここでは、そんな秋田さんに最近のお話を伺いながら、I-PACEを体験していただくことにしよう。ちなみに、秋田さんの愛車は12年以上大切に乗っているというジャガーXJS。取材場所に現れたのは、94年式、キングフィッシャーブルー(カワセミ色)のXJS、サングラスをかけた秋田さんにとてもよく似合っている。
「これがI-PACEですか!なんて未来的なフォルムなんでしょうね。ボンネットが短くてキャビンが長い、こうしてロングノーズのXJSと並べてみると形はまるで違いますね。ただ、不思議なことにI-PACEはジャガーとしての存在感がある。もともとジャガーといえばEタイプがアイコンで、75年にXJSが出た当時は、そのデザインに賛否があったそうです。ただイノベーションというのは、その時代時代で最新の技術とデザインを投入するものですからね。I-PACEもその結果、こうしたデザインになったのだろうと想像できます。
I-PACEとXJS、2台を眺めながら語る秋田さん。そもそもXJSを購入したきっかけはなんだったのであろうか。
「じつは、昔、近所のホームパーティに行ったら、その家の前にXJSが止まっていて『うわ、なんてカッコいいクルマなんだろう!』と思いまして。後日、その持ち主の方には公私ともにお世話になりまして、XJSも譲っていただきました。それからもう12年以上、ほぼ毎日乗っているんですが、私のところに来たときはまだ3万キロ、今では12万キロになりました。XJSというと『故障するのでは? 』とよく聞かれるんですが、私のクルマはジャガージャパンや外部のスーパーメカニックが整備してくれて、本当に調子がいいんです。ちなみに12気筒のXJSは故障に悩まされるオーナーが多いみたいですが、これは6気筒なのでそんなに壊れることはありません。ただ、EVとなるとエンジンオイルもいらないですし、メンテナンスはエンジンにくらべて格段に減るらしいですね。私も自分のXJSを外側だけそのままにEVに、できればコンバートしたいですね。
2018年のロイヤルウエディングの際、今話題の英国ヘンリー王子とメーガン妃がEタイプをEVにコンバートしたEタイプゼロで登場したことも記憶に新しい。クラシックなXJSをEVにしてまで乗り続けたいと思っている秋田さんにさっそくI-PACEに試乗していただくことにしよう。
Profile:秋田 大輔
1992年に米国より帰国後フリーランス・フォトグラファーとしてライフスタイル誌・広告・建築・グラビアなど広い分野で活躍中。特にライフスタイル誌では「冒険とエレガンス」を軸にハイエンドのライフスタイルを撮影するため世界各地の秘境やリゾートホテル、食やプロダクトに関わるその全てを可能な限り体験し記録し続けている。2019年にはオーストリアで撮影したアートパフォーマンスのビジュアルが英国立ヴィクトリア&アルバートミュージアムで行われた「FOOD展」のメイン広告ビジュアルに採用され全世界のメディアに配信された。 https://www.daisukeakita.com
XJSとの意外な共通項
I-PACEにも感じる「色気」とは
「I-PACEのインテリアはディスプレイが最先端というだけでなく、革の質感もよく使っている素材が上質ですね。XJSの代車でランドローバーのRANGE ROVER VELARを借りたことがあるんですが、テイストがとても似ています。ただ、なんともジャガーらしいというか、運転もしやすいですね。シートの形がXJSと似ているのか、私には妙にしっくりなじみます。もしかすると、シート幅などのディメンションが同じで安心するのかもしれませんね。あと、初見ではかなり大きいと感じたんですけど、この車幅にも意外と早く慣れました。うしろの視界もいいですね。XJSは最初うしろが見えず、購入した当初は怖いまま走っていたんです。
I-PACEのドライバーズシートが妙に落ち着くと語っていた秋田さん。あとでXJSのシートに座らせていただいたが、驚くことに座った感じがなんとも似ているのだ。世界中のラグジュアリーホテルの撮影やハイブランドの広告も手がける秋田さん。I-PACEの高い質感も気に入ったようだ。
「クルマを長い間、きちんとつくってきた会社のクルマはEVになってもやっぱり違うんでしょう。『何を以て上質だと感じさせるか』を追究し尽くして、よく理解しているんだと思います。外観はどうしてもトレンドがあるでしょうし、メカニカル上のものもあり変わっていくことも多いですが、私が乗っているXJSとも共通する何かがある気がします。今のクルマって結構押し出しが強くてマッチョじゃないですか。でもこのI-PACEは、スマートでちゃんとジャガーというイメージがある。私がクルマを選ぶポイントは『色気』なんですが、I-PACEにもしっかりと『色気』を感じますね」
秋田さん曰く、世の中に同じようなラグジュアリープロダクトはいろいろあるが、やはり伝統的ブランドのこだわったアイテムは計算され尽くした何かがあるのだそう。同じようなものの中からひとつを手にとらせる逸品。そこにはどこかグッと引き込まれる「色気」のようなものが存在するのだそうだ。
「しかし、この加速というか、スピードが怖いくらいに出ますね。思わず気持ち良くてアクセルを踏みすぎてしまうので、気をつけないと(笑) アクセルを踏んだときのタイムラグなど、これまでのクルマにまつわるストレス的なものがどんどん解消されている気がします。やはり、いざというときに速いっていうのは、ドライバーとしては心強いですね。車体の大きさの割にストレスなく取り回しもいい。一度これに乗ると、運転感覚が変わってしまいますね」
環境とラグジュアリーは
リゾートの重要なテーマ
I-PACEで脇道などにも入り、使い勝手を試してみる秋田さん。ちなみに、世界中を旅する秋田さんのお供は103ℓと超大型のグローブトロッター。XJSはGTなのでトランクにこの大型トロッターを横に入れられるのだそうだが、なんとI-PACEはそれが縦に入ることが判明。見た目の割にスペースが大きくとられていて、その使い勝手に驚いた様子であった。
さて、そのトランクに撮影機材を積み世界中を旅する秋田さん。最近、印象的な場所はどこだったのであろうか。
「エコ&ラグジュアリーという面でいうと『ザ・ブランド』というホテルが2014年にタヒチにできて、撮影したことがあります。『世界初のゼロ・エネルギーのリゾート』なんです。タヒチの美しい環礁を守るため、俳優のマーロン・ブランドが考案・独自開発した深海水冷却システムがエアコンに使用されています。深海から汲み上げた冷たい海水を冷房装置に流すことで空気を冷却し、使用後の温かくなった海水は同じ水温帯に放出しているんですって。これを俳優であるマーロン・ブランドが考えたって、すごくないですか?」
ラグジュアリー性だけではなく、環境にも配慮する。そうした流れは最近の一流リゾートの潮流だそうだ。
「あとはニュージーランドにある『ベイ・オブ・ファイヤー・ロッジ』というスーパーエコロジーロッジにも泊まりました。トイレの排泄物はおがくずと微生物で分解。大きなソーラーパネルがついた宇宙船みたいな建物なんですが、それが1,500ヘクタールの敷地の中にぽつんとあるんです。こういうテーマのある宿泊設備って、じつは日本にもあるんですよね。I-PACEのようなEVは、こうしたラグジュアリーでエコな宿泊施設とコラボレーションしたら面白そうですよね?今、オリンピック前で世界中がいまだかつてないくらい『日本に行きたい』と注目している時期ですし、I-PACEには現代の最高のテクノロジーと最高のラグジュアリーが詰まっているので、もし実現したら、宿泊者も最高の経験ができると思います。あくまで私の意見ですけどね。(笑)」
冒険心とイノベーション
刺激的な毎日が楽しい
クラシックジャガーを愛し、ハイブランドにも造詣が深い秋田さん。I-PACEの価格を伝えると「これで約1000万円というのはお買い得」と驚いていた。ラグジュアリーでは驚きや遊びの要素も最近ではとても重要なポイントで、I-PACEでいうところの「ビックリするほど速い! 」というのもそのひとつだそうだ。
「そういえば、コブラやサソリがいそうなカンボジアの洞窟にも行ったことがあります。その中には4-5世紀にインドの修行僧が立てた祠がありまして、まわりは地雷原なんです。一歩間違えたらドカンという場所なんですけど拠点となるホテルはすごくラグジュアリーで『夜は熱いシャワーとフレンチが待ってるから頑張って歩こう! 』みたいなラグジュアリー・アドベンチャー・ツアーが設定されています。また、昔のドイツ製のハイテクでラグジュアリーな小型探検船で行く南極クルーズというのもありました。乗客70名定員に対して、その倍くらいのスタッフが乗り込んでいる。最近はこういったハイエンドの冒険ツアーに拍車が掛かっていまして、その究極は宇宙旅行です」
冒険、チャレンジ、そしてラグジュアリー。秋田さんは世界各地での取材を通じて現場を体験し、その驚きや感動を写真で伝え、新しいライフスタイルに興味がある人々の知的好奇心を刺激し続けている。何でもインターネットで調べて擬似体験ができる現代。秋田さんのように、飽くなき好奇心でいくつもの実体験をしてきている人の話にはリアリティと説得力がある。
「I-PACEは未来的なデザインとメカニズムを持ちながら、ジャガーが作り上げてきたスポーティかつ上質な空間と操舵感があります。そして歴史的な名車を製造してきた実績があるにもかかわらず、常にチャレンジしていく姿勢をI-PACEから感じることができます。ロングドライブが可能なバッテリーや4輪駆動で行く場所を選ばないI-PACE。このクルマのように誰もが冒険心を持ち、イノベーションを通じて日常を刺激的に変化させ楽しむことができたら素敵だなと思いますし、I-PACEはまさに私の軸でもある『冒険』と『エレガンス』を体験できる一台だと思います。」
「永遠の定番、究極の王道の中にエレガンスを見つけられる」のも魅力的とも語る秋田さん。「奥底にストーリーがあるものづくりは、ジャガーであり、グローブ・トロッターであり、バカラのグラスでもありますが、今では最先端ともいえる電気自動車も時間が経てばその王道のひとつになっていくのでは?」とも語っていた。XJSに12年以上乗られているということからも「今あるクルマを大切に乗ることもエコ」という持論もあるようだが、将来的にもし次のクルマに乗り換えるのであれば、色気があり使い勝手のよいI-PACEはかなり気になる存在となったということであった。