これまでさまざまな業界のイノベーター達に乗っていただき、彼らのライフスタイルとともにジャガーI-PACEの魅力をお届けしてきた「ジャガーI-Paceイノベーターズトーク 走行」今回は少し趣向を変え、「旅」をテーマにお届けしようと思う。
2020年に入り、ライフスタイルや仕事の仕方にもさまざまな変化が起きているが、ガソリン車が電気自動車に変化すると、クルマ旅のスタイルも今後変わっていくはずである。TVでは電動スクーターに乗り、目的地以外は決めずあてのない旅をする番組が人気だが、この旅をジャガーI-PACEでやってみたらどうなるのであろう? 電動バイクで見知らぬ人の家を尋ねるのはさすがにハードルが高いが、電気自動車に乗り、全国津々浦々に配置されているEV充電スタンドを利用するのであれば、充電旅のハードルはグッと低くなる。しかも航続距離はWLTCモードで438kmと長く、運転していて楽しいと評価も高いI-PACEであれば、楽しくも新しい旅の提案ができそうだ。
また、皆様の中にはI-PACEのスペックや試乗記事を読んでも、「そうはいっても実際は走行可能距離が少ないのでは?」とか「充電場所に困るのでは?」など充電インフラの問題を含め実態がよくわからないという方も多いに違いない。
そこで今回は、実際にジャガーI-PACEで鹿児島から東京まで約1,600km(寄り道を入れた結果は1,900km)、5日間をかけて走破。宿泊先はジャガーI-PACEに似合いそうな温泉旅館やホテルを選び、地方のグルメも堪能するという贅沢な充電旅を計画した。
1日目は「ジャガー 鹿児島」を出発
満充電で454km走行可能は
とても心強い
スタート地点となるのは昨年の10月にオープンしたばかりという「ジャガー・鹿児島」。真新しいディーラーの建物に限定カラーであるフォトンレッドのI-PACEがとてもよく映える。
出発は朝の11時でメーターの航続可能距離は454km。この日は東の海沿いを進む全401kmのルートなので、充電なしでも宿まで到着できそうなものだが、撮影や寄り道を考えると途中で充電が必要になりそうだ。実際、道中では東九州自動車道路の川南PAで30分、休憩を兼ねた急速充電をし、トータルで420kmを走破。半日しか移動時間がなかったので、慌ただしいドライブとなったが、高速道路ではステアリングアシスト付の「アダプティブクルーズコントロール・ドライビングアシスタンス」を使用するので、自分はハンドルに手を添えているだけ。運転しているというよりは「I-PACEが運んでくれる」というのが、私の感覚であった。
高級温泉旅館「由布院 玉の湯」へ
専用アプリでの充電状況確認は
とても便利
初日の宿は大分県由布院市の高級旅館「由布院 玉の湯」。到着時には走行可能距離が42kmにまで減っていたが、旅館でリラックスしている間に宿の普通充電器で充電すれば、寝ている間にバッテリー容量は増えていく。このあたりはスマホの充電となんら変わらない。
65年前に禅寺の保養所として生まれた「由布院 玉の湯」。その駐車場にはフェラーリ、ポルシェなどの高級車がズラリと並んでおり、I-PACEはそうしたオーナーからの羨望と好奇の視線もすさまじく、撮影時には航続距離や馬力に関するたくさんの質問を受けることになった。ちなみにI-PACEの最大出力は400馬力、モーターの特性上アクセルを踏んだ瞬間にトルクがMAXにすることが可能なため、スタートはエンジン車と比べると恐ろしく速く、加速性能は0-100km/hを4.8秒で走る。
宿泊時の充電中はクルマのそばを離れることになるが、「JAGUAR REMOTE」というアプリで現在の充電状況やクルマの位置、セキュリティ情報やエアコンのON・OFF設定ができる。朝食をとっている間や周囲の散策をする間にも充電状況がひと目でわかる安心感とともに、ガジェット感も楽しめるのだ。
2日目は湯布院→周南→広島
充電待ちは大容量バッテリーで回避
2日目は湯布院から広島へのドライブ。途中で本州最西端の山口県周南市 徳山駅に併設される「周南市立徳山駅前図書館」に立ち寄る計画だ。ひと晩旅館で充電し、走行可能距離が前日の40kmから230kmまで回復したものの、徳山駅に到着するにはどこかで一度充電が必要だ。
しかしこの日は3連休の初日。大分自動車道の湯布院IC近くにある「道の駅 ゆふいん」で急速充電をしようと試みるが、なんと4台もの充電待ちがあって諦めることに。その後、東九州自動車道の今川PAと本州に入り、山陽自動車道の佐波川SAで無事に充電完了。周南市立徳山駅前図書館でローカル情報を収集後、お勧めのレトロ喫茶でドイツパンの極上サンドイッチを堪能したのであった。
この日の最終目的地は広島だったのだが、徳山駅から広島市内までは約95km。その時点でのI-PACEの航続可能距離は45kmだったので、EV充電器の検索アプリ「EVスマート」で近くの高速充電スタンドを検索。結果「山口日産 周南久米店」がヒットしたため、そこで急速充電。
可能航続距離40km弱で無事広島に到着。この日はそもそも満充電にせずスタートしてしまったことで、何回も充電を繰り返すことになったため、その反省を生かして夕食をとりつつ急速充電を繰り返し、明日の備えてI-PACEを満充電にしたのであった。
充電旅3日目の朝は広島
満充電で大阪まで向かう
広島で迎えた3日目の朝、I-PACEは航続可能距離425kmとほぼ満充電で、この日は岡山県高梁市を経由して、大阪まで370km近くを走破する計画。
気持ちの良い早朝の広島、平和公園周辺の風景をI-PACEとともに撮影し、時間に余裕があったので、公園周辺を英国製折りたたみ自転車「ブロンプトン」で走ってみることにした。
ジャガーと同じ英国製で、ロンドン郊外の職人たちがハンドメイドで作っているというブロンプトン。コンパクトに折りたたんでトランクスペースに入れておけば、充電している間に取り出して周囲を散策することができる。
今回の旅では、徳山での路地裏散策でも圧倒的な機動力を発揮してくれたが、自転車と電気自動車はとても相性がいいと感じている。
というのも電気自動車は全般的に静粛性に優れており、中でもI-PACEの静粛性は群を抜いている。エンジン音がしないので地方の田舎道や深夜のドライブなど、窓を開けて走るとまるで自転車で滑走しているような錯覚に陥るのだ。聞こえるのはタイヤ音のみで、排気ガスの匂いもせず、風が大変心地いい。
「クルマは排気音がしなくては」という方には、擬似サウンドの排気音をタッチパネルで調節できる「アクティブサウンドデザイン」もあるので、このあたりは好みで設定して楽しみたいところだ。
さて、3日目は13時に岡山県高梁市の「高梁市図書館」に到着したのち、さらに内陸にある「吹屋ふるさと村」に立ち寄り。そこ一帯だけが江戸時代のままという、タイムスリップ感を味わえる赤い吹屋とともにI-PACEを写真に収め、そこから240kmを走破して無事、大阪まで辿りついた。この日の走行距離は約410km。一回急速充電を挟んだが、満充電でのスタートだったため、とくに慌てることなくロングドライブを楽しむことができた
バレーパーキングでお出迎え
3日目の夜は高級ホテルでのんびり
広島から大阪を走破したI-PACEは、3日目の宿泊先、「ザ・リッツ・カールトン大阪」に到着。エントランスはラグジュアリー感があふれ、フォトンレッドのI-PACEがそのしつらえにマッチするのがとても印象的だ。しかもバレーサービスでクルマを預けられ、荷物もお任せなので長旅後にはとても助かる。ホテルのインテリアコンセプトも「18世紀英国の伝統的ジョージアンスタイル」ということで、英国生まれのジャガーI-PACEとも親和性が高いように感じる。
ちなみに部屋のサイドテーブルにはなんと、ジャガー柄のたこ焼きをモチーフとしたスイーツがメッセージカードとともに置かれていたのだが、中身は一流のチョコレートスイーツ。ミシュランの星を獲得しているレストランが2つも入るこのホテルでは、食事のみでの利用もおすすめだ。
この日の夜はI-PACEの充電をしなかったため、到着時点での航続可能距離は63km。しかし、4日目の朝、EV充電スタンド検索アプリを使って調べたところ、ホテルの近所に「タイムズ24 桜橋駐車場」という急速充電器付きのパーキングを発見。ここは、時間無制限でしかも充電代無料という充電旅には素晴らしい内容の急速充電スタンドであった。2時間近くを連続チャージさせていただいたが、充電中はホテルに戻り「JAGUAR REMOTE」で充電状況を確認しながらのんびりと朝食を堪能できたので、ここは是非おすすめしたい。満充電状態で出発できれば、4日目の予定走行距離440kmも余裕をもって走破できることは3日目で経験済みである。
4日目はEV充電器付きの温泉旅館
伊豆「星野リゾート 界 アンジン」に宿泊
大阪を出発した4日目の朝。阪神高速から名神高速に入り、昼は滋賀県の草津PAにある最大出力90kWという最新急速充電器で充電を兼ねて休憩。その後伊勢湾自動車道の愛知県 刈谷PAでランチがてら充電し、夕方は新東名高速道路の「NEOPASA清水」で買い物を兼ねた充電をするなど、この日は高速道路での充電と移動を繰り返した。結局4日目はトータル432kmを走破したが、高速道路は始終リラックスしたドライブで、I-PACEの極上の乗り心地のおかげでまったく疲れ知らずで目的地に到着したのであった。
4日目の夜に到着したのは静岡県伊東市の「星野リゾート 界 アンジン」。伊東市は「青い目のサムライ」と呼ばれた英国人・三浦按針が日本初の西洋式帆船を造船した場所ということで、この温泉旅館はその名前にちなんでおり、館内には海や船旅をテーマにしたデザインが取り入れられている。ジャガーI-PACEと三浦按針は同じ英国生まれ同士、充電旅最後の夜を16世紀末の船旅と重ねるのも、趣がある。
そして「星野リゾート 界 アンジン」が特筆すべきは、電気自動車での充電旅に必要不可欠なEV充電コンセントが、2台分用意されているということ。今回の充電旅では夜のうちに充電して、朝には満充電になっていることがいかに重要か身に染みてわかったが、宿に到着と同時にすぐ充電を開始できる安心感は、何物にも代えがたい。またEV化はラグジュアリーカーから進んでいくので、こうした高級温泉旅館にEV充電コンセントが整備されていくというのはまさに時流に乗っており、理にかなっているのだ。
この日は伊東ならではという海の幸を満喫し、温泉に入り、オーシャンビューの部屋でクラフトビールを飲んで眠りについた。
5日目の最終日は東京まで130km
余裕のチェックアウトで
贅沢充電旅を満喫
充電旅最終日の5日目は、東京まで約130km、最後は元々のテーマでもあった桜を探しながら移動するだけということで、最終チェックアウトである12時まで、ホテル周辺の散策タイムとすることとした。
今回の充電旅は、長距離の移動も手伝って朝は早く出発していたが、本来温泉旅館は温泉や部屋を楽しみながらゆっくりとチェックアウトするのが醍醐味。最終日の朝は我々も、周辺を散策したり、部屋で紅茶やレコード窓からの景色を楽しんだりと、のんびりと贅沢な充電旅を実現することができた。
全5日間、鹿児島から東京まで寄り道をしながら走行した距離は1,900km。ジャガーI-PACEの充電旅は本当に素晴らしかった。「できることなら、このまま北上し東北も制覇したい!」と心から思う。ガソリンを一切使わず、極めて静かで快適にI-PACEは淡々と我々を運んでくれた。
そして満充電でスタートすれば、1日400kmの移動も何の問題もないことがよくわかった。さらにはこれだけクルマで移動しているにもかかわらず、肉体的な旅の疲れがほとんどない。しかも乗れば乗るほどに、フォトンレッドというオレンジ色のI-PACEが好きになってしまった!
お読みいただいた中には充電が不便と感じる方もいらっしゃると思うが、私は充電時間も楽しく過ごせたように思う。電気自動車でしかも、ラグジュアリーEVであるI-PACEで素敵な宿を拠点に旅をするというのは、「新しい時代の贅沢旅行」としてかなりオススメである。
文:隂山惣一/写真:近藤浩之
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