ラグジュアリーカーやパフォーマンスカーの設計は、さらに複雑化しています。 ジャガーのエレクトロニクスを例に取ると、電子制御ユニットは100、ソフトウェアは1億行、各モデルの製品要件は1万件となっています。
私たちは航空宇宙産業やFormula 1™など最先端分野の知識を活用するとともに、バーチャルエンジニアリングは従来の設計プロセスでは実現できないレベルのパフォーマンスと品質をもたらし、現在および未来の車作りを革新しています。
この取り組みを支えているのが、年間1,300万ポンドにおよぶバーチャルエンジニアリングへの投資です。 数値流体力学(CFD)ソフトウェアや製品開発コンピューター支援エンジニアリング(CAE)のツールを活用すれば、多様なバーチャルモデルの作成が可能。エアロダイナミクス、熱管理、サスペンション、耐衝撃構造、パワートレインの開発および耐久性において、さまざまな特性を持ったモデルを作り出すことができます。 また、不確定要素の多いエアフローに空力音響モデリングを使用して、ワイパーなどの繊細なツールをシミュレーションすることで、ノイズを最小限に抑制できます。
バーチャルエンジニアリングへの取り組みの中で最も明確なもののひとつが、多くのシミュレーションの実現を推進するバーチャルイノベーションセンターです。 ゲイドンのジャガーエンジニアリングセンター内にあるこの最新施設は、200万ポンドを投じて開発されました。また、開発プロセスを支援するバーチャルツールの拡張のために、さらに300万ポンドを投資しています。
これには、8台の高解像度デジタルプロジェクターによって、コンピューター生成モデルからフルサイズの3D画像を作る「3D Cave」が含まれています。 3Dメガネをかけたオペレーターは、ペン型の制御ツールを用いて画像を操作し、エクステリアデザイン、インテリアスペース、シートポジション、視認性、操作機器のレイアウトを最適化できます。
バーチャルリアリティエルゴラボと拡張現実試験装置では、エンジニアとデザイナーがヘッドマウントディスプレイを装着して車内の感覚を体験。多機能の触感プラットフォームや触覚技術を駆使して車の操作性を体感することができます。 光学性能分析は、インテリアコンポーネントやフロントガラスの反射などをシミュレーションできます。
他にも1:1フルスケールのパワーウォールは、新車デザインのCAD画像を実寸サイズで表示。先進のドライビングシミュレーターにより、エンジニアは屋外に出ることなくドライビングダイナミクスを開発して騒音・振動・ハーシュネスを調整できます。
バーチャルエンジニアリングのアプローチは、すでに現在と未来の自動車開発を刷新しています。 例えばXEの開発では、180万件のシミュレーションを実行。CPUによるシミュレーション時間は3,600万時間で、1,200TBのデータが作成されました。
ジャガー・ランドローバー車のデザインとパフォーマンス要件のうち、約40%にバーチャルシミュレーションツールを活用できることが確認されています。2020年までにこれを100%にするために、多くのスペシャリストパートナーと協力しています。